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和歌山地方裁判所 昭和44年(ワ)382号 判決

原告

丸山芳太郎

被告

日置川町森林組合

主文

被告は、原告に対し、金一、八八〇、〇〇〇円およびこれに対する昭和四四年一一月一三日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は、これを二分し、その一を原告の、その余を被告の各負担とする。

この判決は、原告勝訴部分にかぎり、かりに執行することができる。

事実

原告訴訟代理人は、「被告は、原告に対し、金五、六五九、一六〇円およびこれに対する昭和四四年一一月一三日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は、被告の負担とする。」との判決および仮執行の宣言を求め、

請求の原因として、

一、原告は、昭和四一年一一月一三日午前一一時五〇分ごろ、和歌山県西牟婁郡日置川町竹垣内所在の有料林道を自動三輪車に木材約二トンを積載し、これを運転して、和歌山市方面に向け進行中、丸太を使用して設置された桟道にさしかかつたが、同桟道通過中、突然右桟道に使用されていた丸太一本が折損して、同車は約六・五メートル下の谷川に転落し後記負傷をした。

二、当時、右林道は、森林法にもとづいて設立された川添森林組合が占有管理していたところ、右林道を構成する本件桟道は、昭和四〇年九月ごろ台風により路肩が決壊したため檜等の木材(丸太)をワイヤーロープ等によりいかだ状に組合わせて架設されたものであるが、右林道は、木材運搬等に利用され、三トンないし四トン程度の木材を積載した車両が常時通行すべきものであるから、右通行に充分耐えうる用材を使用するはもとより、各用材をワイヤーロープ等で一体としていかだ状に組合わせるべきところ、本件においては、桟道中央部の丸太を他の丸太と結束することなく、かつ強度不足のものを使用していたため、原告運転の三輪車の通過にあたり中央部の丸太が折損し、本件事故に至つたものであるから、土地の工作物の設置に瑕疵があつたか、またはその保存に瑕疵があつたものであつて、右組合には、これにより原告に生じた損害につき、民法第七一七条によりその賠償責任を負うものである。

三、ところが、その後右組合は、同じく森林法上の被告組合に吸収合併されたので、被告組合が右組合が有した一切の権利義務を承継した。

四、原告の受けた負傷の程度は、つぎのとおりである。

(一)  本件事故発生(昭和四一年一一月一三日)から同年一一月二八日まで、頭部腰部右大腿打撲右第一中指関節骨折等により紀南綜合病院に入院加療した。

(二)  昭和四一年一二月一四日から昭和四二年二月七日までおよび同年五月一五日から同年一〇月三一日まで、頸椎鞭打損傷等により和歌山県立医科大学附属病院に入院加療した。

(三)  右退院後同年一一月一日から昭和四四年二月二八日まで、頸椎骨軟骨症により右医科大学附属病院に通院加療した。

(四)  同年九月(本訴提起当時)右大後頭三叉神経症候群前針角筋症候群等により和歌山労災病院に通院加療していた。

(五)  右大腿中央圧痛、右第一中手指関節圧痛等により運転手として就労不能である。

五、右により原告の受けた損害は、つぎのとおり合計金五、六五九、一六〇円である。

(一)  休業補償額 金九一七、六〇〇円

内訳 金五四五、六〇〇円

本件事故直前まで訴外株式会社平和染色起毛工業所に運転手として勤務し、毎月平均金六二、〇〇〇円の収入が有つたが、事故発生以降昭和四三年八月まで二二カ月間労災保険から月平均収入額の六〇パーセントが支払われたのみで、残額四〇パーセントについては支払を受けていないので之を請求する。

金三七二、〇〇〇円

右労災保険打切(昭和四三年九月)後昭和四四年三月復職するまでの六カ月間本件事故のため無収入となつた。

(二)  逸失利益 金三、二四一、五六〇円

現在復職したが、運転手としての就労不能で、やむなく軽作業に従事しているが、月平均金二八、〇〇〇円程度の収入であり、本件事故前と比らべると毎月金三四、〇〇〇円の減収となる。原告は五四歳であるから残存就労可能年数は九、七年であり、その逸失利益は計金三、九五七、六〇〇円となるが、ホフマン式計算に従い現価を計算すると金三、二四一、五六〇円となる。

(三)  慰藉料 金一、〇〇〇、〇〇〇円

長期間にわたつて入院、通院加療を余儀なくされたのみか、現在なお前記の障害を遺し一カ月の内実質半月程度しか働くことが出来なくなつた身体となり、このような肉体的精神的苦痛を金銭に換算する。

(四)  本件弁護料 金五〇〇、〇〇〇円

被告は原告の蒙つた損害を支払わないのでやむなく財団法人法律扶助協会和歌山県支部に本件訴訟を依頼し、同支部より本件訴訟提起のため弁護士岡崎赫生に対し着手金として金五〇、〇〇〇円の立替支払を受け、かつ成功の際は、判決認容額の一〇パーセント以上を支払う旨の約定が成立している。

六、よつて、原告は、被告に対し、右金五、六五九、一六〇円およびこれに対する訴状送達の日の翌日である昭和四四年一一月一三日から支払ずみに至るまで年五分の割合による損害金の支払を求める。と述べ、

抗弁に対する答弁として、

被告の抗弁一、二は否認する。本件林道の経営の実体は、有料とはいえ、附近住民も日常生活に利用しており、住民の日常生活のための車両の通行には事実上対価を徴収しておらず、かつ、木材搬出のための車両に対し料金を徴収するため係員を一応常置していたが、係員不在の場合、後刻料金を精算するとの前提で遮断機を開放して通行を許していたものである。したがつて、原告の通行にはなんら不法はない。と述べた。〔証拠関係略〕

被告訴訟代理人は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は、原告の負担とする。」との判決を求め、

答弁として、

一、請求原因一中積載量が約二トンであることおよび原告の負傷の部位程度は否認するが、その余は認める。右積載量は約四トンであつた。

二、同二中本件林道が原告主張の川添森林組合が占有管理していたことは認めるが、その余は否認する。

三、同三は認める。

四、同四および同五は争う。と述べ、

抗弁として、

一、本件事故当時本件林道の占有管理者であつた川添森林組合は、本件林道について林道維持管理規定を制定し、該規定にもとづき、林道を利用しようとする者は、あらかじめ該規定に定めた形式により利用期間、目的、運搬物件、方法、数量等必要事項を組合に届出で、組合長の許可を受け、利用料を納付してはじめて林道の利用ができることになつていた。そして、右組合は本件林道の起点附近に使用料徴収所を設置していた。合併後の被告組合においても、右同趣旨の規定がもうけられている。

二、しかし、原告は、右定められた手続を履践せず、組合長の許可を受けず、使用料も支払わないで、ひそかに本件林道を通行していたものであるから、不法不正の侵入者であり、自己の不法行為を棚にあげて、右不法行為中に自己が受けた損害の賠償を右不法行為の被害者である被告に求めるのは、信義則、公序良俗に反するものである。と述べた。〔証拠関係略〕

理由

一、原告が原告主張の日時場所において自動三輪車を運転して本件林道を通行中林道中の桟道の丸太が折損したため同車が谷川に転落したことは、当事者間に争いがなく、公文書であるから〔証拠略〕によれば、右転落のため、原告は、頭部、腰部、右大腿部各打撲、頸椎鞭打損傷、右第一中指関節骨折等を受け、請求原因四、(一)ないし(四)のとおりの治療を要した(なお、(四)については約一カ月間一週一回位通院した。)ほか、本件提起後である昭和四五年三月ごろ和歌山赤十字病院に五日間入院し、その後約三週間一週一回位通院治療を受け、その他昭和四四年四月から昭和四五年九月まで随時黒田医院で通院加療を受けたこと、現在その症状は、首から肩にかけて痛みがあり、力を加えると肩から手がはれ、また右第一中指が骨折のためきかないことを認めることができる。

二、当時右林道は、森林法にもとづいて設立された川添森林組合が占有管理していたことは、当事者間に争いがなく、〔証拠略〕によれば、つぎの事実を認めることができる。

本件林道は、幅員が二メートル程度しかないので通行する車両が事実上三トン車程度に制限されるが、標識その他による重量制限はされておらず、本件桟道にも重量制限がされていなかつたこと、本件事故現場の林道は別紙図面のとおり東西に通じていて、その北側は山に、南側は谷川(将軍川)に面していること、同所は、昭和四〇年九月ごろ台風により林道南側の路肩がくずれたため、そのあとに本件桟道が架設されたこと、その状況は別紙図面のとおりであるが、(イ)の部分は、半分割の檜を四本ワイヤーでいかだ状に結束してあり、(ロ)の部分は、杉または檜の丸太二本をそのまま、すなわち、それ自体を結束せず、また他とも結束せずにはめ込んであり、(ハ)の部分は檜の丸太四本を(イ)同様いかだ状に結束してあつたこと、本件桟道は右のようにして作られているが、別段その強度が確認されていた訳ではないこと、本件林道は、主として木材運搬を目的として開設されたものであるから、右桟道設置後も木材を積載した車両が相当程度通行していたが、事故はなく、本件以前にその危険性等が指摘されたことはなかつたこと、前叙のとおり、本件林道は三トン車程度しか通行できなかつたが、中には積載量がそれより超過して四トン位になつている車両も通行していたし、組合側もとくにそのような通行を禁止するとかこれを制限する等しなかつたこと、しかるところ、前記日時に原告が二トン積の自動三輪車に生木である木材を三・五トンから四トン近く(その正確な数値は不明であるが、体積は約二〇石)積載し、西から東に向つて本件桟道にさしかかつたこと、当時雨が相当程度降つていたこともあつて、原告は、本件桟道を通過するのに危険を感じ、その手前で停車して下車し、桟道の状況を調査したところ、谷側を通ると滑る危険性を感じたので、山側を通ることにし、車を山側に寄せるようにして通過にかかつたこと、そして、右(谷側)後車輪が別紙図面の(ロ)の丸太を通過した際それが折れ、その勢で桟道がくずれ、同車が谷川に転落したこと、そのために、原告が前記のような傷害を負つたほか、助手席に同乗させていた白井茂も傷害を受け、同人は、右傷害により、事故後約二〇日後の昭和四一年一二月三日死亡したこと

以上の事実を認めることができ、〔証拠略〕中右認定にそわない部分はにわかに採用しがたく、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

三、右認定の事実によれば、本件桟道は、構造上(ロ)の部分が弱体であつたことを否定できず、同部分をより頑丈にするか、(イ)、(ハ)のいずれかまたはその双方と結束してこれを補強し、通行の安全を確保する必要があつたものというべきであり、設置の当初には(ロ)部分の強度が充分であつたとすれば、時間の経過等によりこれが不充分になつたものといわざるをえないから、右桟道には、その設置または保存に瑕疵があつたものというべきである。もつとも、〔証拠略〕によれば、当時本件林道を使用しようとする者は、組合長の許可を受け、利用料を納付しなければならないとされていたことを認めることができるが、〔証拠略〕によれば、本件林道には、その入口に料金徴収所および遮断機が設けられているが、遮断機は常に上げられており、監視人も居ず、いわば一般公道と同じように通行されうる状態にあり、現に本件林道附近の住民等が乗用車等で通行するに際していちいち許可の手続がとられず、その料金も徴収されていなかつたし、過去において通行が不許可となつた例もなかつたことを認めることができるから、これを要するに、本件林道は、許可制、料金徴収制の建前をとつてはいたもののこれが厳格に守られず、組合も右のような通行を容認していたものといいうるのであつて、それが山間に開設された、たんなる私道たる林道にすぎないとの性質上の制限はあるにせよ、右のようにして行われる通行に危険を生じない程度には整備されていなければならないものといわなければならず、本件走行には、後に触れるとおり積載超過があつたのであるが、その程度からすれば、本件林道としては予想外のものとはいえず、しかも、本件において他にその通行に過失があつたことを認めることができない(〔証拠略〕によれば、原告が本件桟道通過に当つてこれを調査した際、本件(ロ)の丸太の状況に気付いていないことを認めることができ、またその際その上を通過することが危険であると気付くべきであつたとの点は、これを認めるに足りる証拠がない。かえつて、原告は右のように注意して通過したのに本件事故に遭遇したことに思いを至すべきである。)から、右のような通行に際して丸太が折れ、桟道がくずれたこと自体が、その設置または保存の瑕疵を推測させるものといわなければならないのである。

四、右桟道は、土地の工作物であるから、その占有者たる川添森林組合は、その設置または保存に瑕疵があつたものとして民法第七一七条第一項により、これにより生じた損害を賠償する責に任ずるものである。

五、そして、右川添森林組合が被告組合に吸収合併され、被告組合が、右組合の一切の権利義務を承継したことは、当事者間に争いがない。

六、被告は、「本件林道は、組合長の許可をえたものが料金を支払つた場合にのみ通行できるものであるところ、原告は、右許可を受けず、その料金も支払わずに通行していたものであり、その通行中に受けた損害を請求することは、信義則、公序良俗に反する。」と主張するので、案ずるに、前認定のとおり、本件林道は組合長の許可を受け、その使用料を支払つた者が通行する建前となつていたのであり、前掲原告本人の供述によれば、当時原告は右許可を受けておらず、またその料金も支払つていなかつたことを認めることができ該事実は、原告の不法走行を思わせるが、本件林道の管理および使用の実状が前認定のとおりであつたことに加え、右原告本人の供述によれば、原告は、本件事故現場から林道にそつて約二キロ奥に居住していた日下員男方に木材をとりに行くべく本件林道の入口に至つたが、料金徴収所に人が居らず、遮断機も上つたままであつたので、料金は後刻(帰途)支払うかまたは右日下員男に支払つて貰うつもりで、そのまま通過し、日下方で木材を積み込み帰る途中、本件事故現場に至り、事故に遭遇し、ついにその料金を支払う機会がなかつたことを認めることができるから、前記無許可、無料走行の事実も、いまだ不法行為と認めるに足りず、他にこれを認定するに足りる証拠はないのである。したがつて、被告の前記主張は採用できない。

七、そこで、本件瑕疵による事故により原告の受けた損害について判断する。

(一)  休業補償額 金七一〇、四〇〇円

内訳

1  金四二二、四〇〇円

前記一で認定した事実、〔証拠略〕によれば、原告は、本件事故直前まで訴外株式会社平和染色起毛工業所に運転手として勤務し、毎月平均金四八、〇〇〇円の収入があつたが、事故発生以降事故による傷害のため昭和四三年八月まで二二カ月間労災保険から月平均収入額の六〇パーセントが支払われたのみで、残額四〇パーセントについて損害を受けたことを認めることができる(原告は、事故前の収入が月金六二、〇〇〇円であると主張し、前掲甲第三号証および原告本人尋問の結果にも同趣旨の記載または供述があるが、原告本人自らの供述記載である前記甲第五号証の二、一八と対比して、金四八、〇〇〇円を超える部分は採用できない。)。

2  金二八八、〇〇〇円

前掲各証拠によれば、右労災保険打切後昭和四四年三月復職するまでの六カ月間無収入になつたことを認めることができる(計算の根拠を一カ月金四八、〇〇〇円としたことは、右に同じ)。

(二)  逸失利益 金八七六、五八〇円

前記一で認定した事実、〔証拠略〕によれば、原告は、昭和四四年三月に復職したものの、前記傷害とくに指がきかないことと力仕事ができないことのため運転手としての就労ができず、月平均金二八、〇〇〇円の収入しかえられず、事故前に比べると毎月金二〇、〇〇〇円の減収であり、昭和四五年九月当時その状態は変らず、それがその後どの程度長びくのか適格な資料がないが、右日時当時の原告の症状からすると、少くとも弁論終結後約二年後の昭和四七年一〇月末まで右機能の回復を期待できる見込みがなく、原告の年令からすると、原告は、事故なかりせば、右期間は力仕事を要する運転手ができたと認めることができ、したがつて、同期間の得べかりし利益の喪失が肯定されるが、それ以上の長期にわたつて右喪失を肯定するに足る診断書等の証拠のない本件においては、原告の右部分の主張は排斥せざるをえない。したがつて、一カ月の減収金二〇、〇〇〇円の二〇カ月分(昭和四三年三月から昭和四四年一〇月分まで)合計四〇〇、〇〇〇円および同年一一月から二四カ月間のホフマン式により計算した昭和四四年一一月当時の現価金四五六、五八〇円、合計金八五六、五八〇円がその損害と認めうる。

八、前認定のとおり、本件通行に際し、原告には積載超過があつたことは否定できないところであり、これが本件事故の一因をなしていることは見易いところというべきであるから、過失相殺をすべきであるが、右超過の程度、前叙のごとく、本件事故現場には重量制限がされていなかつたこと、また実際右程度の積載をして通行する例は他にもあつたし、とくに組合側がこれについてしかるべき措置を講じていなかつたこと等を考慮に入れるときは、本件において、被告は、原告に対し、前記七の損害のうち金一三〇万円を賠償すべきものと認めるのが相当である。

九、慰藉料についてみるに、前認定の原告の受けた傷害の部位、程度、その治療に要した期間、昭和四五年九月当時なお勤務のかたわら治療を必要としていること等からすれば、本件により原告が受けた精神的苦痛は著しいものがあつたというべきところ、原告にも前叙のような過失相殺事由が存したことを考慮し、さらに、前叙のごとく、本件桟道の瑕疵はこれを肯定しうるとしても、もともと山間の幅員もさほどない私道である林道のこと故、桟道のために投ぜられるべき費用にはおのずから限度があることが予想され、また本件桟道は作られて一年余相当程度の通行に耐えてきて、本件以前に問題がなかつたことからすれば、右の瑕疵に顕著性、重大性を認めることができないこと、右のような林道であるからその危険性は通常の道路に比して大きいことは否定しえず、したがつて、通行者としては通常の道路のような気持でこれを利用していないと思われること、その他以上に認定し、説示した一切の事情を総合すれば、右精神的苦痛を金銭で評価するときは、金四〇〇、〇〇〇円をもつて相当とする。

一〇、本件弁護料についてみるに、原告本人尋問の結果によれば、原告は、本訴提起にあたり、財団法人法律扶助協会和歌山県支部に本件訴訟を依頼し、同支部より本訴提起のため原告訴訟代理人弁護士岡崎赫生に対し着手金として金五〇、〇〇〇円の立替支払を受け、かつ同弁護士との間で成功の際は、判決認容額の一〇ないし二〇パーセントの報酬を支払うことを約していることを認めることができるところ、本訴の経過その他の事情を考慮するときは、被告には金一八〇、〇〇〇円を賠償させるのを相当と認める。

一一、以上の次第で、被告は、原告に対し、合計金一、八八〇、〇〇〇円およびこれに対する訴状送達の日の翌日である昭和四四年一一月一三日から支払ずみまで年五分の割合による損害金を支払う義務があるから、原告の本訴請求は、右限度で正当として認容し、その余を棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九二条本文、仮執行の宣言につき同法第一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 川口富男)

別紙

〈省略〉

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